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姫金魚草

三国恋戦記中心、三国志関連二次創作サイト

   

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幸せ家族計画! (孟徳)

ついにやってしまいました……
曹昂とかどっか行きました。すいません。

花ちゃんと孟徳の間の息子が曹丕とかいう、どうしようもなくただの俺得な話です。
というか、私以外に誰も得しないと思う。そんな話。



「母上、お願いがあるのですが」
幼い頃から大人びた口調で、十を過ぎた今では可愛らしさの欠片もなく敬語を使いこなせてしまう長子の、珍しく切羽詰ったような声に、花は僅かに首を傾げた。
「珍しい。どうしたの」
丞相府のすぐ傍にある孟徳の館の庭は、丁度春の盛りを迎えて柔らかく華やいでいる。しかし口調と同じく大人びた顔立ちをした息子の顔は、声と同じく必死であった。
「父上に言っていただきたいのです。あの男は私の傍以外に使い道があるだろうと」
「あの男、」
反駁して、すぐに思いついた。数日前に孟徳が引き摺ってきた、目の前の息子よりいくつか上の少年。才を排出すると有名な家の一人だと言って、歳も近いことだしと息子の勉学の相手につけたのだった。
花はその少年とは、その最初の日に一度会ったきりである。孟徳がかなり無理を言って連れてきたらしく、慇懃ながらも不満の見える態度だった。
「はい」
息子は今にも花にとりすがらんばかりの勢いで頷く。花は少し考えながら、口を開いた。
「別に、言うのは構わないけど。どうしてか、聞いてもいいかな」
なにせあの孟徳が気に入ってつれてきた少年だ。花から見てもその才は目を見張るものがあったし、なんとなくではあるがこの息子と合うのではないかと思っていた。空気が、似ているのだ。少し無理をして背を伸ばしているようなところも、物事を冷静に見る眼差しも、こちらを探るように見るときの目の鋭さも。
(うーん、孟徳さんに似たよなぁ)
息子を見るにつけ、しみじみと思う花である。顔立ちも、花よりは孟徳に似たところが多い。
思いながら見ていると、この歳にしては弁の立つほうである息子はしかし、言葉を詰まらせた。それから、花から目を逸らして、口を開く。
「あの男は、優秀です。私の守りなどしているような才ではありません」
言葉だけ聞けば、文句のつけようのない言い分だ。しかし、花の目を見て偽りを言うことが出来ない、という好ましい性分に育った息子の嘘は、孟徳でなくても簡単に見抜けようと言うものだ。
数日の間に、何があったのか。暇を見て勉学の手ほどきをしてくれている文若あたりに聞けばわかるだろうか、と思いつつ、花は重々しく頷いた。
「そう。じゃあ、それは、ご進言しておくね。貴方がそう言っていたと。……貴方では相手にならないほどの才だ、って」
「なっ」
「いつでも人手不足だと嘆いているから、喜ぶかもしれないね。お父さん思いのいい子だね」
はじかれるように顔を上げたのは見ない振りで、わざとらしく頷く。自尊心の高い息子が、このような言い方に頷けるはずがないことはわかってのことだ。さてどうするか、と楽しく花が待ち構えたところで、一人の少年が庭に姿を現した。
「あら?」
「げっ」
「……ああ、こんなところにおいででしたか、子桓様」
朗らかな声。
ぐるり、とこちらを見る首の動きが少し特殊なその少年は、数日前とは見違えるほどに、楽しげな顔をしていた。思わず後ずさった息子が可愛らしく、花は少し笑う。少年は臆した様子もなくこちらに近付いてくると、花に向かって丁寧に頭を下げた。
「御無礼をお許し下さい。時間になっても子桓様が姿を現されぬもので、探しておりました」
「それはごめんなさいね。時間は守らなきゃ駄目じゃない」
「まさか子供のようにお母上に泣きついておられるとは、想像もしなかったものですから」
「……! 仲達! 無礼だぞ!」
「え、事実だと思うけどなぁ」
「母上!」
いつもは冷静な息子が声を荒げているのが珍しくて小さく笑うと、息子は更に怒ったようにもう一度母上、と声を上げた。そして、涼しい顔をした少年を睨みつける。少年は首を傾けて、にこり、というには随分と意地の悪い形で唇を曲げて笑った。
「昨日の講義がそんなにご不満でしたかな? いえ、四つも下の子桓様に言い負かされては、私の立つ瀬がないというものです」
「ああ、そういうこと」
「仲達っ! ち、違います母上、そんな理由では」
「でも、余りに学に差があるようでは、お互いのためにならないかもしれないね。うん、さっきの件はちゃんと父上に」
「いえ!」
花は全て了解したと言いたげにまた頷くのに、花の僅かな言葉だけで大体の話の流れを理解した少年が笑みを深めるのを知らず、息子が声を張り上げた。
「……なぁに? 子桓」
孟徳に良く似た光の瞳が、真っ直ぐに花を見据えている。
「先程の言葉、撤回させてください。……この男は私の、よき勉学の友になってくれると思いますので」
勉学の友、というところを随分と強調して、息子はきっぱりとそう言った。
そう? と花が首を傾ける脇で、成り行きを見守っていた少年がそれでは、と変わらぬ涼しげな顔で言う。
「本日の分をはじめましょうか。子桓様の我侭のお陰で、随分時間が押してしまいましたからね」
「仲達! だから無礼だと、」
「無礼? 何をおっしゃいますやら」
少年は酷く楽しげに笑って、首を傾けた。
「私は貴方の友なのでしょう? 子桓様」
「……っ!」
親しき仲にも礼儀ありだ! 聞いているのか仲達! と一歩遅れて叫びながら少年に引き摺られていく息子を、にこにこと手を振って見送る。
二人が消えてすっかり静かになった庭に、騒ぎを聞きつけてだろうおずおずと顔を出した次男を迎えながら、この話を聞いた孟徳がどんな顔をするだろうと、花は自然頬を緩めた。

* * *

「……と、まぁこんなことが」
「へぇ! 俺も見たかったなー、全力で叫ぶ子桓とか」
夜も更けて。
子供達がすっかり寝静まる時間、僅かな灯りだけの寝室で、花は寝台に腰掛けて、孟徳は花の膝に頭を乗せていた。孟徳が楽しげに笑うのを見て、花も笑顔を返す。
「可愛かったですよ。それとちょっと、安心しました」
「安心?」
「ええ。子桓は、気を張りすぎているように見えましたから」
曹孟徳の長子であるということ。
花も孟徳も、それを殊更に教えて育てたつもりはなかった。それでも彼は、曹孟徳の長子として相応しくあろうと、全てをこなそうと日々努力をしていた。それは彼の生まれ持った性分というものであっただろうし、血筋というものもなくはないのだろうと思えた。
そして彼には、それをこなせてしまうだけの才があった。孟徳は彼が望む教育を惜しげなく与えたし、彼はその全てを貪欲に飲み込もうとした。
結果――曹子桓は曹孟徳の長子として相応しく、そして、年頃の子供としては随分と異質になってしまった。
「どうせ、最初からこうなるとわかっていたんですよね」
「まさか。面白いからつれてきただけだよ」
花の言葉に孟徳はそう嘯いた。花は笑って、孟徳の柔らかい髪を撫でる。そうして甘やかすようにしていると、孟徳の口がだんだんと緩くなるのを、花は経験で知っていた。
「本当だって。……俺の要請をあの歳で拒むって言うんだもん。病がちにて、とかあの元気そうな身体でさ。面白いじゃない」
「そうですか。……それなら、子桓にもそうだろうと思ったと」
「……まぁ、否定しないけど」
権力者の長子を取り巻く環境は、決して子供にとって優しいものではない。それに加えての才と性格が、彼を人から遠ざける結果となった。花はずっとそれを憂いていたのだけれど。
「ありがとうございます」
「……ん? 何が」
「よい友に、めぐり合わせてくれて」
花が正直な気持ちでそういうと、孟徳は少し呆れた顔で花を見上げた。
「……、あのねぇ。……俺だって一応、おとーさんなんだからさ。息子の心配くらいするって」
「それは、わかってますけど」
「それに、上手く行くかどうかはあいつら次第な訳だし。その感謝は不要だし、感謝の機としてもちょっとはやいよ」
言いながら、孟徳が上手く行くことを確信しているだろうことも、花にはわかっていた。笑みを深めて、愛しい気持ちで孟徳の髪に指を絡める。孟徳の手が花の頬に触れて、そのまま身体を起こした孟徳が、柔らかな口付けを花に与えて。
静かな夜に相応しい空気が、仄暗い寝室に漂う。花がそっと目を閉じたところで、でも、と孟徳が口を開いた。
「半分くらいは嫌がらせだったんだけどね」
「……、え?」
「あいつ生意気だからさー。生意気な奴と組ませて凹ませようかと、……って、何、どうしたの花ちゃん」
「……」
「え、ちょっとまって今良い感じだったでしょ、何で一人で蒲団にもぐりこむかな! しかも背中まで向けるとかどういうことなのねぇ!?」
口を緩ませすぎたか、と花が内心で呟く向こうで、余計な事を言ってしまった男が慌てふためく。いい感じの空気は残念ながら、この夜のうちには戻ってくることはなさそうだった。














(次男が曹植。)
(曹節と献帝の話とも書きたいけど、そうすると献帝が超ロリコンということになってしまう。困った。)

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