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孟徳GOODその後とか(孟徳)

(孟徳GOOD後、ハーレムとかの話があるのでご注意をば)


「さて、と」
うーん、と身体を伸ばした孟徳が、にぱっ、とでも言いたげに満開に笑う。
文若は嫌な予感を覚えて、眉を寄せた。
「……丞相、まだ」
「花ちゃんが回復するのに合わせて、式の準備をしないとね!」
「……」
詰まれた巻物の山を一顧だにせずに立ち上がった孟徳は、傍から見ても明白なほどに浮かれている。
彼女が目を覚ましてからはずっとこうだ。彼女の意識が無い間は間で、孟徳の方が死にそうな顔をしていたから、それに比べればマシだと皆は言う。それは確かだと文若も思うが。
……思うのだが。
(これはどう見ても、浮かれすぎだ)
眉間の皺は深くなり、溜息は重くなる。
だからこそ次の言葉は、文若なりの、僅かな意趣返しのつもりだった。
「式も宜しいですが。……彼女はあの館に?」
「へ?」
あの館、とは、孟徳が多くの女性を囲っている館のことだ。孟徳ほどの男となれば、妾の数人どころか数十人は、珍しい話ではない。
しかし孟徳は何を言われているかわからないように目を瞬いて文若を見た。
「……あー、そうか。言ってなかったっけ」
「はい? 何をですか?」
「うん。あそこね。解散することにしたから」
「……は?」
解散ってなんだ。バンドか。
思わずキャラクターに似合わない(どころか、そもそも時代が違う)突っ込みをしそうになった文若の前で、孟徳はあっけらかんとした笑顔のままで続ける。
「勿論、ただ放り出すわけじゃないけど。……やっぱりこのままなのは、皆に悪いしさ」
「……」
孟徳は多く女を囲ったが、まだ子はない。また、女はみな美しい容姿をしている。次の奉公先やらを探すことは難しくないだろう。――しかし。
「……そこまでなさるとは、思いませんでした」
「うん。俺も思わなかったよ」
自らで自らに驚いたように頷く姿は、とても本気とは思えない。けれど彼があの小さい少女のために、もはやなんでもするであろうことは、この軍の誰にとっても明白だった。
「……彼女は、何も言わないと思いますが」
「そうかもね。でも俺は、もう彼女を傷つけないって、決めたからさ」
我慢できるってことは、傷付かないってこととは、違うでしょ。
先程から孟徳が言う言葉は、彼が言うには余りにも優しい。
「不思議だよね。ただ放り出したら怒るだろうなって思ったりさ。あの子の事ばっかり考えちゃうんだ」
「……たしかに、不思議な娘です」
文若もまた、彼女を助手として置くうちに、彼女の持つ何か不思議な、周りを柔らかにするような空気を感じ取ってはいる。思い出しながら同意した文若の前で、孟徳はぱちりと目を瞬き、ふと剣呑に眉を寄せた。
「お前が女の子をそんな風に言うなんて、珍しいじゃないか」
「……? そうですか? ……それくらいには、不思議な娘だということでしょう」
孟徳が随分と柔らかいことばかり言ったせいで、文若は僅かに変わった空気に気付かなかった。それどころか、僅かに笑みまで浮かべてしまう。
「……へーえ」
「……、……丞相?」
「もしかして、掃除が必要なのは、館だけじゃなかったのかなぁ」
聡い文若にしては随分と遅い――それは致命的な遅れだった。文若を見た孟徳は、変わらぬ笑顔に見えるけれど――笑っていないのが、文若には判る。
「……丞相、」
口元が引き攣る。この程度も流せないのですか、と、文若の中の悪魔が口に出させそうになるが、それを言ったが最後首が繋がっている気がしない。
しかし、そもそも孟徳の女関係になど興味のなかった文若は、この手の話で怒る孟徳、というものを長い付き合いではじめて目にしたのだ。対処法もわからない。
(それでなくても、私はこの手の話が苦手だというのに)
嫌な蛇を出してしまった――内心で叫んだ助けを求める声に呼応するように、扉が叩かれた。
「孟徳。俺だが」
(助かった……!)
「……入れ」
胸を撫で下ろす文若の前で、元譲が部屋へ入ってくる。同じく孟徳と付き合いの長い元譲である、流れる空気の微妙さにはすぐに気付いたのだろう。あからさまに面倒そうに眉を寄せた。
「また何か、無茶を言ったのか。程々にしろ」
「……なんで俺が悪いって決め付けるかなぁ」
「そりゃ大概はお前が悪いからだ。……医者がそろそろ、外に出てもよいと言っていたぞ」
「え、本当?」
ぱあっ、と、花が咲いたように孟徳が顔を輝かせる。
「ああ、体力を戻すためにも、散歩などしたほうがいいと」
「そうか! じゃ、明日早速庭に誘おう。晴れるかな。晴れるといいな」
うきうきと窓を見やる姿は、先程の姿とはまるで別人だ。文若は半ば唖然と孟徳を見る。そして同じく孟徳を見ている元譲と、目が合った。

(……どうにかしてください、これ)
(俺には無理だ、というか、もう誰にも無理だ)

「……何、目と目でわかりあってるのかな」

「いえいえ、何でもありませんとも」
「ああ、色ボケだなどど思ってもいないぞ」
二人は引き攣った顔で、揃って首を横に振る。
とにもかくにも、我が君主が丸くなったことは喜ばしい筈だ――悋気など、目をつぶれる程度のものだ。そう自分に言い聞かせながら。



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