姫金魚草
三国恋戦記中心、三国志関連二次創作サイト
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お前本当に原稿してんのか疑惑を払拭するために
ちょっと張っておきますね
あ、盛大に途中なのでここだけ読んでもイミフだと思いますすみません。
あ、盛大に途中なのでここだけ読んでもイミフだと思いますすみません。
戦をすると、孟徳は言った。
言われたとおりに幕に戻り、敷かれた筵の上にちょこんと座った。外のざわめきは聞こえてくるが、まだ騒ぎは起こっていないようだ。
けれどすぐに、孟徳の動きが軍を動かす。そうなればいいという願いも、恐らく多分に篭っていた。
黄巾党にいたという男たちに話を聞いたのは、花が消えた後の彼らがどうしたのか、気になったからだ。
帝を仲頴に掠め取られて、成功したはずの反乱は燃えた洛陽だけを残して急速に萎んだ。南華老仙の使いを偽って、導師様と呼ばれていた自分が、どれほどのことを反乱の成功のために為せたのか、はっきりとわかっているわけではない。けれど結局彼らの願いが叶わなかったことに、責任の一端を感じるのは仕方のないことだ。
途中で逃げたと言われても可笑しくない。けれど先刻の彼らは、伝聞で聞いたという花のことを、まるで尊崇するかのように語っていた。あまつさえ花の背格好を重ね合わせて(同一人物であるのだから、当然ではある)ふざけて導師様と呼びさえしたのだ。
反乱の中核を為していた者たちは、いまだ集団を形成して、義勇軍のような形で戦い続けているという。晏而らもその中にいるのだろうか。
「入るよ。――孟徳はまだ戻ってないのか」
「!」
どれだけ考え込んでいたのだろう。
幕を上げた男の向こうに見えた空気はもう暗く、それなりの時間の経過を花に知らせた。お邪魔するよと笑った孟卓は、花に向かい合うように筵に座る。
「心当たりにはすべて声をかけたが、やっぱり芳しくはなかった。どんなに集めても、三万に満たないだろう」
寡い。
いまここにどれだけの兵がいるのかは知らないが、朝廷の兵と私兵とで大軍であろう仲頴に立ち向かうに、とても足りる数ではない。花の表情を見て取ったのだろう、孟卓は苦笑した。
「負けるだろうね」
静かに、孟卓は言った。ならばどうして、と問う前に、孟卓は続ける。
「けれど孟徳は、たとえ一人でも、戦うと言うだろう」
花はすこし、意外な気がした。花の知る曹孟徳は、勝てない戦をする男ではない。しかしそれは、花がもう大軍となった孟徳しか知らないかもしれない。数は力だ。多ければ、強く見える。
「でも、孟卓さんは、孟徳さんと一緒に、戦うんですね」
花は言った。どこか、縋るような口調になってしまったかもしれない。目の前のどこか、愁いを帯びたような顔をする男が、怖かった。
「そうだね。俺は――」
花を見て孟卓は、すこし、困ったように笑った。眉の下がった気弱そうな笑み。優しげな顔立ちにあまりにもぴったりくるその表情が、なにかひどく、不吉だった。
「俺は、何が信じられるのかわからなくなってしまったんだ。本初は俺の、友だったはずなんだけどな」
花はそこで、孟卓の頬の下、顎のあたりに、擦り傷のようなものがあることに気が付いた。地面で擦ったかのような、荒れた傷痕だ。孟卓は手当もしていなさそうなその傷に触れて、言った。
「本初に、もう一度――会いに行ってきたんだ。孟徳には止められたんだけどね、信じられなくて。止めておけばよかったよ。ほんとうに、殺されるところだった」
「殺される? ……本初さんは、お友達なんですよね」
「ああ」
孟卓はなにか懐かしむように目を細めて、頷いた。
「本初や孟徳と、侠を気取って遊び歩いていたんだ。楽しかったな。――楽しかった」
「……孟卓さん」
本初はなにを企み、なぜ友人を殺すようなことをするのだろう。花は思わず眉を寄せて、でも、となにか必死になっていった。
「でも、孟徳さんとは一緒に、戦えます」
本初と言う男は、孟徳と孟卓の友ではなくなってしまったのかもしれない。けれど、孟徳と孟卓はまだ、手を取り合っている。花は孟卓が頷いてくれると、思っていた。
「――孟徳、は」
孟卓は少しだけ、戸惑うように目を伏せた。花は眉を寄せる。何か小さく言葉が零されたが、聞き返すよりも先に、幕があげられた。
「なんだ、先に戻ってたのか。その様子じゃ、本初は変わらなかったらしいな」
「あ、……ああ。そちらはどうだ」
孟徳は何やらひどく忙しない様子で、水瓶から水を飲んだ。説得のために随分言葉を弄したのだろうか。ふ、と一息ついて、座っている二人を見下ろし、答える。
「鮑信が、起ってくれるそうだ」
「ああ――もとより彼は、お前の味方だったな。兵は二万ほどだったか。なら、大将は彼が?」
「いや」
孟徳はなにか考え込み、心半ばといった風情で答えた。
「鮑殿が、是非にと俺を推すから。そういうことになりそうだ」
「――なるほど」
孟卓の顔が、すこし、歪んだように見えた。
「まぁ、お前が言いだしっぺだものな。すぐに発つのか」
「そうだな。明日明後日には。あまり長居して、本初に難癖をつけられても困る」
そうして話題は、今後の行軍のことへと移っていった。このあたりの地形も何もわからない花には、ついていけない話題だ。けれど花が何も言えなかったのは、そのせいではなかった。
聞き取れなかった、言葉。
花にはその小さな呟きが――「恐ろしい」と、言っているように、聞こえたのだ。
(孟卓……孟徳√の過去に出てきた名前がないのに立ち絵のある青年ですね。張邈さんです。)
言われたとおりに幕に戻り、敷かれた筵の上にちょこんと座った。外のざわめきは聞こえてくるが、まだ騒ぎは起こっていないようだ。
けれどすぐに、孟徳の動きが軍を動かす。そうなればいいという願いも、恐らく多分に篭っていた。
黄巾党にいたという男たちに話を聞いたのは、花が消えた後の彼らがどうしたのか、気になったからだ。
帝を仲頴に掠め取られて、成功したはずの反乱は燃えた洛陽だけを残して急速に萎んだ。南華老仙の使いを偽って、導師様と呼ばれていた自分が、どれほどのことを反乱の成功のために為せたのか、はっきりとわかっているわけではない。けれど結局彼らの願いが叶わなかったことに、責任の一端を感じるのは仕方のないことだ。
途中で逃げたと言われても可笑しくない。けれど先刻の彼らは、伝聞で聞いたという花のことを、まるで尊崇するかのように語っていた。あまつさえ花の背格好を重ね合わせて(同一人物であるのだから、当然ではある)ふざけて導師様と呼びさえしたのだ。
反乱の中核を為していた者たちは、いまだ集団を形成して、義勇軍のような形で戦い続けているという。晏而らもその中にいるのだろうか。
「入るよ。――孟徳はまだ戻ってないのか」
「!」
どれだけ考え込んでいたのだろう。
幕を上げた男の向こうに見えた空気はもう暗く、それなりの時間の経過を花に知らせた。お邪魔するよと笑った孟卓は、花に向かい合うように筵に座る。
「心当たりにはすべて声をかけたが、やっぱり芳しくはなかった。どんなに集めても、三万に満たないだろう」
寡い。
いまここにどれだけの兵がいるのかは知らないが、朝廷の兵と私兵とで大軍であろう仲頴に立ち向かうに、とても足りる数ではない。花の表情を見て取ったのだろう、孟卓は苦笑した。
「負けるだろうね」
静かに、孟卓は言った。ならばどうして、と問う前に、孟卓は続ける。
「けれど孟徳は、たとえ一人でも、戦うと言うだろう」
花はすこし、意外な気がした。花の知る曹孟徳は、勝てない戦をする男ではない。しかしそれは、花がもう大軍となった孟徳しか知らないかもしれない。数は力だ。多ければ、強く見える。
「でも、孟卓さんは、孟徳さんと一緒に、戦うんですね」
花は言った。どこか、縋るような口調になってしまったかもしれない。目の前のどこか、愁いを帯びたような顔をする男が、怖かった。
「そうだね。俺は――」
花を見て孟卓は、すこし、困ったように笑った。眉の下がった気弱そうな笑み。優しげな顔立ちにあまりにもぴったりくるその表情が、なにかひどく、不吉だった。
「俺は、何が信じられるのかわからなくなってしまったんだ。本初は俺の、友だったはずなんだけどな」
花はそこで、孟卓の頬の下、顎のあたりに、擦り傷のようなものがあることに気が付いた。地面で擦ったかのような、荒れた傷痕だ。孟卓は手当もしていなさそうなその傷に触れて、言った。
「本初に、もう一度――会いに行ってきたんだ。孟徳には止められたんだけどね、信じられなくて。止めておけばよかったよ。ほんとうに、殺されるところだった」
「殺される? ……本初さんは、お友達なんですよね」
「ああ」
孟卓はなにか懐かしむように目を細めて、頷いた。
「本初や孟徳と、侠を気取って遊び歩いていたんだ。楽しかったな。――楽しかった」
「……孟卓さん」
本初はなにを企み、なぜ友人を殺すようなことをするのだろう。花は思わず眉を寄せて、でも、となにか必死になっていった。
「でも、孟徳さんとは一緒に、戦えます」
本初と言う男は、孟徳と孟卓の友ではなくなってしまったのかもしれない。けれど、孟徳と孟卓はまだ、手を取り合っている。花は孟卓が頷いてくれると、思っていた。
「――孟徳、は」
孟卓は少しだけ、戸惑うように目を伏せた。花は眉を寄せる。何か小さく言葉が零されたが、聞き返すよりも先に、幕があげられた。
「なんだ、先に戻ってたのか。その様子じゃ、本初は変わらなかったらしいな」
「あ、……ああ。そちらはどうだ」
孟徳は何やらひどく忙しない様子で、水瓶から水を飲んだ。説得のために随分言葉を弄したのだろうか。ふ、と一息ついて、座っている二人を見下ろし、答える。
「鮑信が、起ってくれるそうだ」
「ああ――もとより彼は、お前の味方だったな。兵は二万ほどだったか。なら、大将は彼が?」
「いや」
孟徳はなにか考え込み、心半ばといった風情で答えた。
「鮑殿が、是非にと俺を推すから。そういうことになりそうだ」
「――なるほど」
孟卓の顔が、すこし、歪んだように見えた。
「まぁ、お前が言いだしっぺだものな。すぐに発つのか」
「そうだな。明日明後日には。あまり長居して、本初に難癖をつけられても困る」
そうして話題は、今後の行軍のことへと移っていった。このあたりの地形も何もわからない花には、ついていけない話題だ。けれど花が何も言えなかったのは、そのせいではなかった。
聞き取れなかった、言葉。
花にはその小さな呟きが――「恐ろしい」と、言っているように、聞こえたのだ。
(孟卓……孟徳√の過去に出てきた名前がないのに立ち絵のある青年ですね。張邈さんです。)
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